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Agent Design PatternsAIエージェント設計パターン

クラウドデザインパターンの系譜を継ぐ、「引ける」日本語パターンカタログ

なぜ今、エージェントにデザインパターンか

LLMを中心とするシステム開発は、プロンプトの工夫で動くデモを作る段階を終え、非決定論的な認知コンポーネントをいかに堅牢なソフトウェアシステムとして制御するかという工学の段階に入りました。本番運用でエージェントが壊れる原因の多くは、モデルの推論能力ではなく、無制限な自律ループの暴走、コンテキストの破綻、状態の喪失、ガバナンスの欠如といったアーキテクチャの問題です。

かつて分散システムの再利用可能な知見に名前を付け、共通言語を与えたのがクラウドデザインパターンでした。本カタログは同じアプローチをAIエージェントに適用します。それぞれのパターンは特定の障害モードに対する検証済みの解決策であり、名前・問題・解決・トレードオフの定型で整理されています。

想定読者

  • 主読者: LLMエージェントを自分で設計・実装する開発者・アーキテクト
  • 副読者: Claude Code などの既製エージェントを使いこなすパワーユーザー(挙動の設計意図を理解し、指示やレビューに活かせます)

利用シーン

  1. 新規設計: パターン選定ガイド の意思決定ツリーから、最小の複雑度で始める構成を引く
  2. PoC → 本番化: 信頼性・安全カテゴリを差分チェックリストとして使い、抜けを塞ぐ
  3. レビュー・障害振り返り: 事象を「どのパターンの不在・誤用か」で語る共通語彙にする
  4. チームの共通言語: 設計議論での名前付けを揃える

収録パターン

カテゴリパターンひとことで
ワークフローPrompt Chainingタスクを直列のLLM呼出に分解し、段間に検証ゲートを挟む
ワークフローRouting入力を分類し、専門化された処理経路へ振り分ける
ワークフローParallelization独立サブタスクの並列実行や多数決で速度・確度を上げる
自律エージェントReActツールの実行結果を根拠に、推論と行動をループさせる
マルチエージェントOrchestrator-Workers中央のLLMが動的にタスクを分解し、ワーカーへ委譲する
品質・評価Reflectionエージェント自身に成果物を批評・修正させる
品質・評価Evaluator-Optimizer生成と評価を別のLLMに分離し、合格まで反復する
品質・評価Adversarial Review成果物を破綻させにいく敵対者を立て、頑健性を検証する
信頼性・回復力Budget Guard反復回数・時間・トークンの上限でループ暴走を遮断する
信頼性・回復力Checkpoint & Resume実行状態を永続化し、中断からの再開を可能にする
信頼性・回復力Retry with Feedback失敗したツール呼出のエラーを差し戻し、是正した再試行を生成する
信頼性・回復力Self-Heal Loopコミット済みの多段作業を補償・再計画で回復する
安全・ガバナンスApproval Gate不可逆アクションの直前に人間の承認を構造的に挟む
安全・ガバナンスLayered Guardrails入力・ツール呼出・ツール応答・出力の4層で検証する
コンテキスト・記憶Context Triageループへ渡す前に、関連する情報だけを決定論的に切り出す
コンテキスト・記憶Context Compaction蓄積した文脈を閾値到達時に圧縮し、上限到達と品質劣化を防ぐ
コンテキスト・記憶Memory事実・経験をセッションをまたいで永続化し、関連想起する

さらなるパターン(英語版の検討を含む)は README のロードマップ を参照してください。

先行事例との関係

本カタログは Anthropic「Building Effective Agents」、Microsoft「AI Agent Orchestration Patterns」等の一次資料と整合するよう名称を選び、異なる呼称は各パターンの「別名」に併記しています。本カタログの独自価値は、(1) 厳密なカタログ定型、(2) クラウドデザインパターンとの系譜の明示、(3) 日本語での体系化、の3点です。

本文: CC BY 4.0 / コード片: MIT。GitHub で寄稿を受け付けています。